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南山大学社会倫理研究所・上智大学生命倫理研究所共催公開シンポジウム2016
2016年09月19日
南山大学社会倫理研究所・上智大学生命倫理研究所第6回共催公開シンポジウム2016開催のお知らせ
下記の通りシンポジウムを開催致しますので、ご案内申し上げます。 どなたでも参加は自由(無料)です。出席されます場合は、事前に受付フォームよりご連絡いただけると幸いです。(当日参加でも結構です。)
日時 | 2016年10月22日(土) 14:00~17:30(13:30開場) | |
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場所 | 南山大学 名古屋キャンパス B棟2階 B21教室 アクセスについてはこちらをご利用下さい。 |
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全体テーマ | 持続可能な発展は可能か〜回勅「ラウダート・シ」を複眼的に読む | |
趣旨 | 教皇フランシスコが2015年に発表した回勅「ラウダート・シ」は、現代における環境と社会の問題を総合的な視点から捉えてその解決を促すものであり、その力強いメッセージ性は、カトリックのみならず、世界中の人びとの注目を集めた。とりわけ、「総合的エコロジー(Integral Ecology)」を提唱し、現代の地球環境問題について踏み込んだ提言が行われたことは、数々の関連締約国会議が功を奏さない現状に対して何らかの規範的な意味をもちうるかもしれない。さらに、カトリックの伝統のなかで今回の回勅をどのように位置づけるかは、今後バチカンがとりうる地球環境問題へのスタンスを左右する重要な問いとなるだろう。そしてまた、特定の宗教的背景のもとに紡がれた言葉が、そうした背景を共有しない人びとに対してどのような意味をもちうるのかについて、改めて考えてみる必要もあるだろう。本シンポジウムでは、日本語版が刊行されたこの時期に、回勅「ラウダート・シ」を複眼的に読むことを通じて、環境と社会と宗教をめぐる現代社会の諸問題について包括的に取り組むための手がかりを得るべく、参加者諸氏とともに考えていきたい。 |
演題1 | 持続可能性に向けた関係性の再構築と"総合的なエコロジー" | |
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報告者1 | 吉川まみ(よしかわ・まみ)(上智大学神学部神学科講師) | |
趣旨 | 持続可能性の創出に向けて、環境教育の国際会議で、環境教育のねらいは「人と人、人と自然の関係の再構築を含むすべての生態学的関係の再構築」と明記された。一方、イエズス会では、グローバル化した世界で分裂し傷ついた様々な関係、人間と自然との関係を和解へと導くべく「三つの和解のミッション:人間相互の和解、被造界との和解、神との和解」を示している。和解を関係性の再構築と捉えた時、神との関係軸が据えられることとで何が変わるのか。カトリック社会教説における社会的弱者優先の思想もふまえ、持続可能性の創出における関係性の再構築と「総合的なエコロジー」の意味を考察する。 | |
演題2 | 現在の環境倫理学の観点から見た「ラウダート・シ」 | |
報告者2 | 神崎宣次(かんざき・のぶつぐ)(南山大学外国語学部英米学科教授) | |
趣旨 | かつてキリスト教を環境危機の原因としたリン・ホワイト・ジュニアの主張をそのまま妥当とみなす者はもはやいないだろうが、広い意味での宗教観・世界観がわれわれの環境に対する態度に影響を及ぼすと主張した点で彼の論は現在でも一定の評価を受けている。本報告では、環境に関連する問題の諸相を包括的に論じた報告書である「ラウダート・シ」の背景をなす世界観を、現在の環境倫理学の観点と比較しつつ検討する。 | |
演題3 | 回勅を神学的に読むか、哲学的に読むか? | |
報告者3 | 佐藤啓介(さとう・けいすけ)(南山大学人文学部キリスト教学科准教授) | |
趣旨 | 回勅「ラウダート・シ」は、結論においては、自然への配慮や貧者への正義を説く点で、環境倫理や社会倫理一般が目指す主張と大きな差はない。他方で、その結論に至る論拠には、創造の福音や人間の霊性といった概念が用いられ、キリスト教独自のものとなっている。回勅の倫理を教会外部の人が受け取る際、この二面性をどう評価するかが、つねに問われてきた。本提題では、回勅の神学的論拠をキリスト教固有の論理から離れて解釈する可能性を考えたい。 | |
コメンテータ | 篭橋一輝(かごはし・かずき)(南山大学社会倫理研究所第一種研究所員/経済学部講師) |
報告者紹介 | |
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吉川まみ | |
《略歴》 | 慶應義塾大学社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。上智大学地球環境学研究科地球環境学専攻博士課程修了(環境学博士)。川崎市環境局地球環境推進室研究員、東京都市大学特別研究員などを経て、現職。 |
《専門領域》 | キリスト教人間学にもとづく環境教育 |
《主要著書》 | 『環境教育と開発教育 実践的統一にむけた展望:ポスト2015のESDへ』(共著)筑波書房、2014年。『福音の喜び―人々の中へ、人々とともに 2015年上智大学夏期神学講習会講演集』(共著)日本基督教団出版局、2016年。 |
神崎宣次 | |
《略歴》 | 京都大学理学部および文学部卒業。同大学大学院文学研究科修士課程修了。同大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大谷大学助教、京都大学助教、滋賀大学教育学部講師、准教授を経て、現職。 |
《専門領域》 | 倫理学、環境倫理学 |
《主要著書》 | 『科学技術倫理学の展開』(共著)玉川大学出版部、2009年。「ブライアン・ノートンの収束仮説および関連する思想の批判的検討―環境倫理学における実践上の有効性、価値、動機という問題―」『倫理学研究』第39号、2009年。「異議申し立ての抑圧に抗して―沈黙とアドヴォカシーをめぐる研究者の倫理」『社会と倫理』第26号、2012年。 |
佐藤啓介 | |
《略歴》 | 京都大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科修士課程修了。同大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。聖学院大学人文学部助教、准教授を経て、現職。 |
《専門領域》 | 宗教哲学 |
《主要著書》 | 『スピリチュアリティの宗教史(上)』(共著)リトン、2010年。「自然悪の苦しみと宗教哲学―神義論的問題の再編成に向けて」『宗教研究』第86号、2012年。「苦しみの叫び声は何を求めているのか―神義論から宗教哲学へ」『基督教学研究』第35号、2016年。 |
篭橋一輝 | |
《略歴》 | 京都大学経済学部卒業。同大学大学院地球環境学舎修士課程修了。同大学大学院地球環境学舎博士課程修了。博士(地球環境学)。南山大学社会倫理研究所研究員、京都大学経済学研究科研究員を経て、現職。 |
《専門領域》 | 環境経済学、地球環境学 |
《主要著書》 | 「本質的自然資本の判定基準の再検討」『社会と倫理』第29号、2012年。"The Effects of International Trade on Water Use"(共著)PLOS ONE 10(7)、2015年。「将来世代に引き継ぐべき自然環境をどう考えるか」『生命と倫理』第3号、2016年。 |
主催 | 南山大学社会倫理研究所 |
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共催 | 上智大学生命倫理研究所 |
連絡先 | 南山大学社会倫理研究所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18 Tel: (052)832-3111(内線3413,3414) Fax: (052)832-3703 E-mail: ise-office@ic.nanzan-u.ac.jp |
*本研究所主催シンポジウムでは、講演録作成のために写真撮影と録音を行なっております。 |