人類学研究所国際化推進事業 活動一覧
《国際化推進事業》公開講演会「東日本大震災を語り継ぐ-宮城県被災地から-」実施
2017年10月01日
[会場]南山大学DB1教室
[プログラム]
13:00 挨拶 後藤明(南山大学人類学研究所)
13:10 趣旨説明 髙村美也子(南山大学人類学研究所)
13:30 「語り部タクシーとして語り継ぐ」 桜井慶哉(仙台中央タクシー運転手)
14:45 「震災から学んだこと、命を守るということ」 櫻井広行(名取市観光物産協会、ゆりあげ港朝市協同組合 代表理事)
16:00 語らいの場 講演者と来場者とで共に語り合う
[概要]
桜井慶哉氏:当時の津波の様子をDVDで流しながら、各地域でどのようなことが起こったのか、被災した人々や犠牲者の家族の心情を詳細に述べた。桜井氏本人も津波に巻き込まれている。その時の身体的・心情的体験を詳細に語った。また、身内を探す過程で、遺体捜査作業に当たっていた若い自衛隊員の苦悩、ご遺体の状況など、辛く説明しづらい現状を静かに述べた。避難に関しては、学校の体育館に避難した際には、助かった生命を保つためには次に何が必要かを諭した。現在は地域の防災団長を務めている。震災の経験を通し、未来の住民・地域のための貢献とは何かを述べた。
櫻井広行氏:閖上地域、福島県相馬市、塩釜湾、南三陸で起こった津波の恐ろしさを語り、命を守るにはどうするべきかを主張した。特に日頃の災害に対する姿勢、避難訓練のあり方に関して注意喚起をした。そして、なぜ震災2週間後から朝市を再開したのか、その経緯を述べた。災害においては被災者・避難民に対する支援は行われるが、避難民以外の住民の生活が忘れがちとなる。避難民も避難民以外の住民も同じ地域に住む住民であることを思い出させ、避難民以外の住民への支援も必要である旨を伝えた。
語らいの場:フロアーから質問や意見が活発になされた。①防災を促すには具体的にどのような取り組みをしたらよいのか、防災の取り組みを地域の人々に受け入れてもらうためにはどのような工夫が必要なのか、②避難された人々は元住んでいた場所に戻れたのか、または生活自体元に戻ったのか、③犠牲者が出た施設は、本来どうすればよかったのか、などの質問がでた。また、④今自分たちができることは、災害のことを、家族、仕事場、友人などの身近な人々と常日頃話題に出すことが大切である旨、意見がなされた。人は日常生活に戻ると、自然災害のことは忘れがちになってしまう。住民たちが自ら守る地域づくりをしていくことが重要であるなど、積極的な意見交換が行われた。
桜井慶哉氏の講演 | 櫻井広行氏の講演 | 語らいの場 |