2013年度よりNSC保健室で実施している教職課程履修学生ボランティアによる軽度発達障がい児の個別学習指導「キッズゼミ」ならびにその保護者のピア・サポートグループ「ママゼミ」について報告する。
　近年、知的な遅れはなくとも、社会的スキルの獲得や学習面に著しい困難を示す発達障がい児に対する支援が注目されている。しかし、教育現場では、発達障がいの特性を理解して指導することのできる教員も学外機関も極めて少ないのが現状である。
　本取り組みでは、教職課程にある学生は、発達障がい児に対する学習支援を通じて特別支援教育の実際について学ぶ機会を得られた。また、参加児童は、学校場面では“皆と同じようにできない”ことに自己評価が低下しがちである。それゆえ、課題を個別に設定し、読み書き困難や集中時間の短さ等の苦手領域をサポートした。その結果、子どもの自己効力感が育まれ、積極的に「キッズゼミ」に参加することができた。一方、「キッズゼミ」と並行し、保護者同士のピア・サポートグループを実施した。グループでは、あえてフリートークとはせず、学習支援に関する情報交換という現実的内容を活動基盤に設定することで、保護者の多くのニーズに応じられるように発展し、対人コミュニケーションに苦手感をもつ保護者にとっても参加しやすくなると考えられた。
　今後、学生にとっての一層のメリットの模索、児童の学習の定着のための工夫やソーシャルスキル支援などが検討課題である。
　本報告では、プログラム内容の充実を図るにおいての目標と限界、そして、南山大学として学生・児童・保護者、そして地域社会に何ができるのかを参加者の皆様と考えていきたい。なお、本事業は、瀬戸キャンパス事務部第2課学生係保健室における2014年度個別事業「瀬戸キャンパス保健室におけるメンタルヘルスに関する包括的学生支援」の一環として行われた。