「南山大学インターナショナル・ディヴィジョン」とは、1953年から1962年頃まで南山大学に置かれていた、主として駐留米軍兵を対象とする教育機関であり、日本国内には他にほとんど例を見ないものである。その関係史料が、2004年秋に南山大学図書館倉庫にて偶然に「発見」され、報告者はその整理と分析を行った。その成果は、『アルケイア』創刊号（2007年）・第2号（2008年）掲載の論文、および『南山大学インターナショナル・ディヴィジョン史料集　上』にまとめられている。 　今回の報告では、上記の論文にも使用されている史料を編纂した史料集の概要を紹介し、「南山大学インターナショナル・ディヴィジョン」が日米高等教育史、およびグローバル化の下で改革の進む今日の日本の高等教育に対して持つ意義について論じる。また、史料集編纂の過程について振り返りながら、「史料」を用いた研究の手法についても検討する。