公開講演会
2012年度 公開講演会(春学期)
演題 | 関係性の回復に向けて |
講師 | 玄侑 宗久(げんゆうそうきゅう) 氏(臨済宗福聚寺住職、作家) |
日程 | 2012年5月30日(水)18時30分~20時30分 受付:18時~ |
会場 | 南山大学 名古屋キャンパス R棟1階フラッテンホール |
チラシ | |
参加費 | 無料 |
概要 | 東日本大震災以後の復旧に向かう時間のなかで、私たちの「関係性」への認識には、ある種の目覚めがあったように思う。さかんに「絆」と言われるが、それかもしれない。 人はさまざまな関係性のなかで生きており、たとえばそこには家族や親族、友人や地域の人々、あるいは動植物や時には無生物さえ、同じ生態系に存在するものとして関係しあっている。むろん海や山などの自然との関係も重要である。その関係性の大切さに、私たちは今回の震災をとおして気づいたのではないか。復興とは、関係性の回復なのだ、とも……。 日本人の場合、そこに死者との関係も強く関わってくることは、特筆していい。万葉集に登場する「夏樫(なつかし)」という表現や、「面影」「あはれ」などの美学にまで昇華された日本人独特の感性にも、それは表れている。 固有神として、噴火口を意味する神(大穴牟遅神)をもつ国にとっては、「無常」こそがあらゆる思考の原点だったのではないか。「無常」を基盤に据えた我々日本人の思考や文化について、考えてみたい。 |
講師プロフィール | 1956年福島県生まれ。慶応義塾大学文学部中国文学科卒業。現在は臨済宗福聚寺第35世住職。福島県警通訳(英語・中国語)。福島県立医大経営審議委員。花園大学国際禅学科、新潟薬科大学応用生命科学科、客員教授。2001年、「中陰の花」で第125回芥川賞受賞。2007年には柳澤桂子氏との「般若心経 いのちの対話」で第68回文藝春秋読者賞を受賞。近著には『四雁川流景』(文藝春秋)、『テルちゃん』(新潮社)、『阿修羅』(講談社)などの小説のほか、『荘子と遊ぶ』(筑摩選書)『日本的』(海竜社)など幅広い論考や随想、また『自然と生きる』(東京書籍)など対談本も多い。近著は『福島で生きる』(双葉新書)『無常という力』(新潮社) など。2011年4月から東日本大震災復興構想会議委員。 公式サイトは、http://genyu-sokyu.com |