研究活動 過去の活動報告
"PROTRACTED CAMP LIFE OF SRI LANKAN REFUGEES IN TAMIL NADU - INDIA: A CULTURAL PERSPECTIVE"(インドタミル・ナードゥ州におけるスリランカ難民の長引くキャンプ生活: 文化的観点から)
2015年06月04日
[日時]2015年6月4日(木)、17:00~18:00
[会場]南山大学人類学研究所一階会議室
[主催]南山大学人類学研究所
[講師]Dr. K. Arockiam (Head of the Department, Department of Human Resource Management, St. Joseph's College (Autonomous))
[司会・通訳・コメント]サガヤラージ、アントニサーミ
[報告]
国際社会、特に現代インドにおいて長引く難民の生活が懸念されている。インドは、チベット難民を1959年に、チャカマから流入してきた人々を1969年に、バングラデシュ難民を1971年に、アフガニスタン難民を1980年代に、ミャンマーからのタミル難民を1960年代に、またスリランカからのタミル難民を1983年、1990年、そして1995年にそれぞれ受け入れている。このことからわかるように、インドは長引く近隣諸国からの難民受け入れとそれによって発生する問題に直面している。そのうちのある人々には国籍が与えられたが、スリランカ・タミル難民には国籍の付与は行われていない。講演者は、タミルナードゥにおける103の難民キャンプに暮らすスリランカ難民の生活に焦点を当てている。この難民は、仮設住宅と最低限の援助を受けているが、このような24年間(1990年~2014年)にわたる難民生活は、文化的、社会・経済的、心理的な問題を拡大させている。講演者は、都市部と農村部のそれぞれ4つずつのキャンプ、計8ヶ所のキャンプにおける400人の回答者を対象とする聞き取り調査を行った。調査の結果、難民キャンプの生活は、社会的問題・文化的退廃にさらされていることがわかった。つまり、失業、児童婚、自殺の増加、うつ病、知的障害等である。そしてそのような問題の発生は、現地の人々との交流がないことにも起因すると考えられる。
当日は人類学研究所員や有志の学生などが多く参加し、会場が満員となった。発表後は、活発な質疑応答が行われた。なお、 通訳およびコメンテーターは、人類学研究所員のアントニサーミ・サガヤラージ氏が担当した。
講演するDr. K. Arockiam氏(右) | 会場の様子 | 質疑応答の様子 |