研究活動 過去の活動報告
公開シンポジウム「琉球列島最古の航海者を探る」
2015年03月01日
[日時]公開シンポジウム:2015年2月28日(土)13:00~17:00、研究会:3月1日(日)9:00~17:00
[会場]南山大学人名古屋キャンパスR棟R49およびR31教室
[司会]後藤 明(南山大学人類学研究所長)
[プログラム]
2⽉28⽇ 公開シンポジウム「琉球列島最古の航海者を探る」
13:00-13:05 後藤 明(南山大学人類学研究所)
「与那国研究会の趣旨説明」
13:15-13:45 山崎 真治(沖縄県立博物館)
「琉球列島の旧石器人とその文化ー遺跡発掘最新情報ー」
13:45-14:15 篠田 謙一(国立科学博物館)
「沖縄旧石器時代研究最新情報:人類学」
14:15-14:45 海部 陽介(国立科学博物館)
「旧石器時代人の航海ー世界の例と琉球列島ー」
15:00-15:30 久保田 好美(国立科学博物館)
「人が初めて琉球へ渡ったとき、黒潮はどう流れていたか?-過去五万年間の黒潮動態復元を目指して-」
15:30-16:00 石川 仁(カムナ葦船プロジェクト)
「人類最古の船を求めてー古代アシ船で海を渡るー」
16:00-17:00 総合討論(司会:後藤 明、海部 陽介)
3⽉ 1⽇
9:00-16:00 研究会
1. 海部 陽介 「プロジェクト準備状況の報告 」
2. 内⽥ 正洋 「ホクレア号世界ツアーについての報告」
3. 関野 吉晴 「映画「縄⽂号とパクール号の航海」の紹介」
4. ⼩池 康仁・⼤⻄ 広之 「外部団体との連携の可能性について」
5. 村松 稔 「与那国島の⼈と⽂化」
6.久保⽥ 好美 「過去5万年間の⿊潮の変動」
7.井原 泰雄 「島へ移住するために必要な乗船⼈数の検討」
8.藤⽥ 祐樹 「旧⽯器時代における沖縄へのイノシシ運搬の可能性について」
9.野林 厚志「イノシシ・ブタの⺠族学:運搬⽅法についての⽰唆」
10. ⽯川 仁 「葦⾈の原型を探る」
11.後藤 明 「⽵筏の可能性を探る+北マルク諸島・ハルマヘラ島からニューギニア島まで帆⾛航海 をするときの季節や航海法について」
12. 國府⽅ 吾郎 「琉球列島の植物史:⾈の材料検討のために」
討論 − 航海へ向けて
[報告]
まず2月28日開催された公開シンポジウムでは山崎氏が沖縄の旧石器発掘の最新報告を行った。続いて篠田氏がミトコンドリアDNAから見たホモ・サピエンスの拡大と日本列島への移動、海部氏が形質人類学の最新情報と琉球列島での旧石器人発見の意義について論じた。さらに久保田氏は最新の黒潮研究より旧石器後期の時代に黒潮はおそらく現在のように与那国や八重山の西側を流れていただろうという推測を提示した。最後に石川氏が自ら習得した葦船作りの立場から旧石器時代にありえた船の形態について論じた。
会場には100人近い聴衆が熱心に最後まで議論を聴講し、また質問などを行った。
翌日の研究会ではそれぞれの研究者が人類学、考古学、民族学、海洋学、船作りの立場から琉球列島への人類や飼育動物の海上移動の可能性や方法について意見を披露し、質疑応答が行われた。この結果、プロジェクトの意義について共有し予算獲得へ向けて活動を継続することを確認した。
公開シンポジウムの総合討論 | 熱心に聴き入る聴衆 | 多様な専門家からなる 与那国研究会のメンバー |