研究活動 過去の活動報告
公開講演会「災害と克服」
2014年12月19日
[日時] 2014年12月19日(金)17:00~20:00
[会場]南山大学名古屋キャンパスR31教室
[講師]木村周平(筑波大学)、日下渉(名古屋大学)
[共催]日本文化人類学会課題研究懇親会「危機と克服の地域コミュニティ」
[プログラム]
木村 周平(筑波大学)
「2つの津波の間に何が起きたか:岩手県沿岸部の被災地より」
日下 渉(名古屋大学)
「フィリピンにおけるココナツ農家の被災と復興支援ー台風ハイエンから1年後に」
[報告]
まず災害研究が専門の木村氏は岩手県大船渡市の前浜地区をとりあげ、過去の津波の歴史とその災害への対応の歴史について概観する。津波が繰り返され、高台移転と帰還が繰り返されきて歴史を見たあと、東日本大震災への集落ごとの対応を詳細に検討した。その脚気災害から論ずるのではなく、生業や部落組織などとの関わりでそれ以前から形作られている「慣性の力」のようなものを理解する必要性を唱えた。また主体性の問題、つまり誰が復興を進めるのかという問いも提示した。集団と個、閉鎖性と開放性の微妙なバランスによって個々のコミューニティの復興過程が異なることを指摘した。
次に日下氏は災害前から行ってきたフィリピンのレイテ島における状況と実践活動について報告を行った。この地域も台風の被害が繰り返されてきたが、日下氏はそのつどどのような支援が行われてきたのか、そしてその支援に内在する問題点を現地住民の視点から説き起こした。さらに今回の台風ヨランダにおける学生ボランティアの事例からそこに潜む矛盾や問題点を検討したあと、あるべきボランティア活動について具体的な提案を行った。 今回の研究会は平日の午後5時という制約された時間枠で行ったため参加者が限定された印象はあったが、フィールドで活躍するお二人の臨場感のある講演であったため、その後の質疑応答や懇親会でも熱心な議論が続いた。
講演する木村氏 | 講演する日下氏 | 質疑応答の様子 |