研究活動 過去の活動報告
公開講演会「Singing about Disaster: How Oral Traditon Serves or does not Serve Goven, emtalities」(次期共同研究プレフォーラム3)
2013年03月16日
次期共同研究「危機の人類学」プレフォーラム3
[日時]2013年3月16日(金)、13:30~16:30
[会場]人類学研究所1F会議室
[講師]フランク・コロム(ボストン大学教授)
[プログラム]
1330-1430 フランク・コロム
Singing about Disaster: How Oral Tradition Serves or Does Not Serve Governmentalities
1430-1435 休憩
1435-1500 コメント:後藤 明(人類学研究所所長)
1500-1530 質疑応答
[報告]
講師コロム氏はインドの西ベンガル州で長年調査を行っている。Patuaとよばれる下層の集団は絵巻を用いた一種の吟遊詩人として知られる。彼らが地震など大規模災害が起こった際、さまざまな政治的な意図や野望を持つ政治家がパトロンとなってその伝統的な文化活動を継続している。しかし彼らの謡う詩にはパトロンの政治的なキャンペーンが含まれることがしばしばである。そうであるならPatuaは単なる御用詩人になっているのだろうか。
コロム氏によると彼らの謡う詩の内容を分析すると自己の存在を主張し、またときにはその政治家を批判するなど巧みにその状況を生きている実態が浮かび上がる。Patuaは支配的な力よりも力強い力の従属関係によって、より増加する状況における声を得ることによって、少しのエンパワーメントの機会でさえも、生き残ることの意味を作り上げる考えの間で彼らの揺らす能力に迫ることによってはっきりするとコロム氏は結論した。
コロム氏の講演のあと、所員の後藤 明が東日本大震災に関する短い報告を行った、災害の前に三陸の漁民が海や鯨・魚に対して持っていた民俗的な思考や信仰を概観したあと、津波でそれが一瞬にして崩壊した状況を報告した。さらにこのような状況でも明治時代や昭和初期のチリ地震津波時に立てられた津波石や津波がその前で止まるという仙台市内の浪別神社の存在は庶民の津波に対する何らかの警告と防御手段であった可能性を指摘した。
講演するコロム氏 | 質疑応答の場面 | 研究所にて、ドーマン南山宗教文化 研究所員(左)、コロム氏(中央)、 後藤人類研所長(右) |