研究活動 開催情報
(共催)シンポジウム「一般社団法人日本民俗建築学会第29回シンポジウム「住まう」空間を求めて-暮らしの場の確保と変容を探究する-」
2024年10月26日
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(共催)シンポジウム「一般社団法人日本民俗建築学会第29回シンポジウム「住まう」空間を求めて-暮らしの場の確保と変容を探究する-」
日 時:10月26日(土) 13:30〜16:30
会 場:南山大学R棟1階フラッテンホール
主 催:一般社団法人日本民俗建築学会
後 援 : 南山大学
共 催 : 南山大学人類学研究所
プログラム:
「趣旨説明」 谷沢明(愛知淑徳大学名誉教授)
「パネリスト報告」
・「水上と陸上に住まう術-中国福建の河と海に生きる連家船漁民 の生活史-」藤川美代子(南山大学人文学部人類文化学科准教授)
・「在日朝鮮人集住地区の暮らしと住まい-エスニック社会と資本の役割に着目して-」福本拓(南山大学人文学部日本文化学科教授)
・「暮らしを築く場としての小屋-新潟県の海辺を事例に-」池田孝博(柏崎市立博物館学芸員)
「パネルディスカッション」
藤川美代子、福本拓、池田孝博
(総合司会 林哲志(愛知県立成章高等学校教諭))
趣 旨:
日本では高度経済成長期を経て、人が住んでいる民家を、生身の居住者に接しながら調査することがつとに難しくなりました。今、私たちは「暮らしの場」と言われてきた民家の、どのようなところに目を向けていったらよいのでしょうか。また、どのようなことに目を止めて記録を残したらよいのでしょうか。このシンポジウムでは、中国福建省の河と海に暮らす船上生活者が水上と陸上の双方に生活の空間を求める姿、大阪市という都市の中心部で在日朝鮮人の人びとが集住地区をつくり出していく姿、さらに新潟県の海沿いに建てられた小屋を用いながら海に依拠して暮らす人びとの姿に注目し、「住まう」とはどのような営みなのかを考えます。
パネリストは、いずれも人びとの生活に入り込んで調査をするのがきわめて難しくなった21世紀の時代に調査をしてきました。言い換えると、従来の伝統文化や習俗が大きく移り変わった中で調査をし、記録を残したことが三名に共通しています。時代が移り変わる中で、これから我われはどのようなことに目を向けたらよいのか、また、後世にどのような記録を残したらよいのか、示唆を与えてくれるのではないかと期待できます。
報 告:
本シンポジウムでは、中国福建省の河と海に暮らす船上生活者が水上と陸上の双方に生活の空間を求める姿(藤川発表)、大阪市という都市の中心部で在日朝鮮人の人びとが集住地区をつくり出していく姿(福本発表)、さらに新潟県の海沿いに建てられた小屋を用いながら海に依拠して暮らす人びとの姿(池田発表)に注目し、「住まう」とはどのような営みなのかを考察した。いずれも、これまで日本民俗建築学会では取り上げられにくかった人々や現象に注目する点で、参加者に「住まう」ことや「住まい」に関する新たな視座の可能性を提示するような内容であった。パネルディスカッションの際、会場からは「自身の研究はどのような点で社会に貢献できると考えるか」といった質問が寄せられ、活発な議論がおこなわれた。
3名のパネリストはいずれも、人びとの生活に入り込んで調査をするのがきわめて難しくなった21世紀の時代に調査をしてきた。言い換えると、従来の伝統文化や習俗が大きく移り変わった中で調査をし、記録を残したことが3名に共通する点である。建築学・家政学・民俗学など多分野から構成される参加者にとって、本シンポジウムの内容が民家や住まうという営みを研究するためにはどのようなことに目を向けたらよいのか、また、後世にどのような記録を残したらよいのかといったことを考える一助となれば幸いである。
(文責:藤川美代子)