研究活動 活動報告
[共同研究]非営利組織の経営に関する文化人類学的研究(代表:藏本 龍介)
2019年01月14日
人類学研究所共同研究「非営利組織の経営に関する文化人類学的研究」(2016~2018年度)
[代表]藏本龍介(東京大学東洋文化研究所 准教授/人類学研究所 非常勤研究員)
組織とは、共通の目的を達成するために協働する複数の人間の集まりを指す。人間が一人でできることは限られる。しかし他人と協働することによってその限界を克服することができる。それゆえに歴史上、組織は人間生活に欠かせない一要素となってきた。それは現代社会においても同様である。それどころか、現代社会における人間の生き方は、多種多様な組織がなければ成立しえない。現代社会が組織社会と呼ばれる所以である。
それでは組織は、どのように経営されているのか。つまり各組織はいかなる目的をいかなる手段によって達成しようとしているのか。そうした試みがどのような問題に直面し、どのような対応がなされているのか。この問題については、経営学の膨大な蓄積がある。ただし経営学の主要な対象は、企業のような営利組織である。しかし組織全体からみた場合、営利組織はそのごく一部にすぎない。むしろ人間が日常的に関わっている組織は、営利以外の目的の実現を目指す非営利組織であることが多い。
そこで本研究会では、これまで十分に焦点が当てられてこなかった非営利組織の経営という問題について、人類学的なアプローチから分析することを目的とする。つまり世界各地に存在している、あるいはかつて存在していた、目的・構成員・規模・持続性などにおいて多種多様な組織を、民族誌的に叙述する。同時にそれらの事例を相互に比較検討することによって、これまで等閑視されてきたような人間生活の一側面を浮き彫りにする。さらにその成果を社会学や経営学といった隣接諸分野に積極的にアピールすることによって、現代における人類学の可能性を探る。
2016年度
▶第1回研究会
日時:2016年7月20日(水)
発表:藏本龍介(南山大学)「非営利組織の経営についての文化人類学的研究」
▶第2回研究会
日時:2016年10月26日(水)
趣旨説明:藏本龍介(南山大学)
発表:吉田竹也(南山大学)「ひとつになった乙姫と白百合の現存在―恒久平和を念願する時限結社の超越の過程―」
▶第3回研究会
日時:2017年1月13日(金)
発表①:石原美奈子(南山大学)「変貌するスーフィー組織」
発表②:吉田早悠里(名古屋大学)「エチオピア イスラーム聖者が暮らす村と組織」
2017年度
▶第1回研究会
日時:2017年8月3日(木)
発表:廣田緑(名古屋大学)「野生のアートワールドにおけるアートマネジメントの実践:インドネシア現代美術を事例に」
▶第2回研究会
日時:2018年2月28日(水)
発表①:竹内愛(日本学術振興会特別研究員/南山大学)「ネパール・パタンに居住するネワール民族の女性自助組織「ミサ・プツァ」の活動目的の転換―経営の視点から」
発表②:後藤明(南山大学)「『移動』を展示する博物館・海洋文化館をめぐる様々な『組織』」(*共同研究「定着/非定着の人類学-『ホーム』とは何か」との横断研究発表)
2018年度
▶第1回研究会
日時:2018年10月22日(月)
発表①:Patrick McCartney(南山大学人類学研究所/京都大学)「Nihon no Yogasukepu: An Update on Global Yoga in Japan(日本のヨガスケープ)」
発表②:ムンシ・ロジェ・ヴァンジラ(南山大学)「キリシタン神社の歴史と現状-地域社会の宗教観をめぐってー」
▶第2回研究会
日時:2019年1月14日(月)
発表①:宮脇千絵(南山大学人類学研究所)「民族表象と経営ー中国ミャオ族/モンの「文化伝承保護館」の取り組みから」
発表②:リースラント・アンドレアス(南山大学)「暴走族ー社会的認知の変遷」