研究活動 活動報告
[共同研究]人類学・考古学における「大きな理論」と「現場の理論」(代表:宮脇千絵)
2022年02月24日
人類学研究所共同研究「人類学・考古学における「大きな理論」と「現場の理論」」(2019~2021年度)
[代表]宮脇千絵(人類学研究所 第一種研究所員)
人類学者・考古学者はフィールドでの出来事を、民族誌としてまとめあげる過程で、理論的な考察をおこなうことで、学問への貢献を果たす。一方で、1990年代以降、いわゆるマリノフスキーを典型とするスタイルにとどまらない、多様なフィールドワークや記述方法の模索、理論構築の試みがおこなわれている。それゆえ、その学問的営みがもはやホリスティックな理論に集約させることだけが目的ではない、もしくは各論の積み上げが主流となることによって誰しもが拠るメジャーな理論自体が不在となっているかのような状態にある。また、現地の研究者やインフォーマントとの協働がますます要請される現在において、その成果のとりまとめには、むしろ現地において構築された理論への理解が不可欠であろう。
それでは、いわゆる「大きな理論」と、各地において構築されてきた「現場の理論」はどのような関係にあるのだろうか。本研究会では、人類学・考古学における「大きな理論」をメンバー全員で整理し、同時に各メンバーがフィールドにおける「現場の理論」を報告することを通じて、人類学・考古学における両者の関係性を検討する。この取り組みは、転換期を迎えている人類学・考古学的思考の再検討を図ることを可能にするとともに、フィールドに立つ我々研究者ひとりひとりが眺める理論の定点観測の共有にもつながると考える。
2019年度
▶第1回研究会
日時:2019年6月23日(日) 15:00~18:00
趣旨説明:宮脇千絵(南山大学)「趣旨説明と研究会の進行について」
発表①:山田仁史(東北大学)「ヴィルヘルム・シュミットの生涯と今日的評価」
発表②:角南聡一郎(元興寺文化財研究所)「大林太良の物質文化研究-隣接諸学問の関係再考に向けてー」
発表③:後藤明(南山大学)「大林太良の考古学・日本古代史研究」
▶第2回研究会
日時:2019年11月9日(土) 15:00~17:30
発表①:渡部森哉(南山大学)「アンデス研究における理論の系譜」
発表②:クネヒト・ペトロ(南山大学)「Missonary and Anthropologist: A Contradiction?」
▶第3回研究会
日時:2020年1月26日(日) 15:00~17:30
発表①:岡本圭史(中京大学)「異人・都市・国家――ケニアの悪魔崇拝言説について」
発表②:吉田竹也(南山大学)「観光の定義の困難さについて」
2020年度
▶第1回研究会(Zoom開催)
日時:2020年10月24日(土) 15:00~17:30
発表①:藤川美代子(南山大学)「中国の水上居民はいかにして研究の俎上にのせられたか」
発表②:宮脇千絵(南山大学)「中国民族研究と少数民族の服飾へのまなざしの変遷」
▶第2回研究会(Zoom開催)
日時:2021年2月21日(日) 15:00~17:30
発表①:髙村美也子(南山大学)「スワヒリ(Swahili)形成過程と現在のスワヒリ」
発表②:菅沼文乃(南山大学)「現在の若狭村御願-「やり方」の継承にみる」
▶第3回研究会(Zoom開催)
日時:2021年3月14日(日) 10:00~12:30
発表①:野澤暁子(南山大学/名古屋大学/ミシガン大学)「ジャワ遺跡壁画の物語-文献学的解釈と文化実践」
発表②:竹内愛(南山大学)「ネワール社会における女性自助組織の成立と変遷ー開発論とジェンダー人類学」
2021年度
▶第1回研究会(Zoom開催)
日時:2021年6月27日(日) 15:00~17:30
発表①:張玉玲(南山大学)「文化人類学における華僑華人研究の意義と方法」
発表②:藏本龍介(東京大学)「聖典宗教の人類学に向けて」
▶第2回研究会(Zoom開催)
日時:2021年10月10日(日) 15:00~17:30
発表①:中尾央(南山大学)「理論のトリセツを考える」
発表②:石原美奈子(南山大学)「聖者の人類学」
▶第3回研究会(Zoom開催)
日時:2022年2月24日(木) 13:00~15:00
発表①:Benjamin Dorman(南山大学)「Stolen Generations: Case studies of indigenous peoples and minorities in Australia」
発表②:Esben Petersen(南山大学)「Stolen Generations: Case studies of indigenous peoples and minorities in Denmark and Greenland」