研究活動 活動報告
第1回公開シンポジウム「人類学と博物館ー民族誌資料をどう研究するのか?」
2019年12月21日
ポスターをダウンロード |
どなたでも無料でご参加いただけます。ご参加されます場合は、事前に〈受付フォーム〉よりご連絡いただけますと幸いです。懇親会も会費無料です。
人類学研究所設立70周年記念事業関連
第1回公開シンポジウム「人類学と博物館ー民族誌資料をどう研究するのか?」
日時 2019年12月21日(土)、13:30~18:00(開場13:00)
会場 南山大学R棟・R49教室
主催 南山大学人類学研究所
プログラム
13:30 「あいさつ」後藤明(南山大学人文学部・教授/人類学研究所・第二種研究所員)
13:35 「趣旨説明」宮脇千絵(南山大学人類学研究所・第一種研究所員/准教授)
13:45 基調講演「人類学と博物館ーこれまでとこれから」吉田憲司(国立民族学博物館・館長)
14:30 休憩
14:40 報告1「物質文化研究の視点から」後藤明(南山大学人文学部・教授/人類学研究所・第二種研究所員)
15:00 報告2「民具研究の視点から」久保禎子(一宮市尾西歴史民俗資料館・学芸員)
15:20 報告3「考古学の視点から」黒沢浩(南山大学人文学部・教授)
15:45 人類学博物館見学
16:30 総合討論(司会:黒沢浩)
18:00 終了
(総合司会:宮脇千絵)
開催趣旨
南山大学に、人類学研究所と人類学博物館があるのをご存知でしょうか?学外の方には(学内でも⁉)、同じ施設だとよく混同されます。
しかしそれもあながち間違いではありません。この2つはもともとルーツを同じくするからです。
南山大学が創立された1949年、人類学・民族学研究所とその資料陳列室が開設されました。人類学・民族学研究所は1954年に人類学研究所と名称を改めました。資料陳列室は1979年に、人類学研究所から独立し、人類学博物館となりました。
奇しくも今年は、両組織の設立70周年に当たります。このメモリアル・イヤーに再びタッグを組み、シンポジウムを企画しました。
シンポジウムの目的は2つあります。ひとつは、研究所の成り立ちとも所縁のある博物館の資料から、両者のルーツを改めて振り返ること。ふたつめは、博物館の資料、特に民族誌資料を、人類学の研究にいかに活かすことができるのかを考えることです。
基調講演では人類学と博物館の関係、および国立民族学博物館での取り組みをご紹介いただきます。さらに、物質文化研究、民具学、考古学といった「物質文化」や「博物館資料」を扱う隣接分野の取り組みとの比較検討をおこない、民族誌資料の活用について考えます。
一緒に、人類学と博物館のかかわりについて考えてみませんか。ぜひこの機会に、人類学研究所と人類学博物館をもっと身近に感じていただき、あなたの研究に、われわれをお役立てください。
報告
2019年12月21日(土)に、「人類学と博物館-民族誌資料をどう研究するのか?」が開催されました。吉田憲司氏からは基調講演として、オリンピックと博物館、無形文化遺産と博物館、そして人類学におけるモノへの回帰とアートへの接近についてお話いただき、フォーラムとしてのミュージアムの可能性について示唆していただきました。それをふまえ後藤明氏からは、沖縄海洋博公園の海洋文化館にあるオセアニアのカヌーのさまざまな来歴および活用のされ方を紹介いただきました。続く久保禎子氏は、考古学の学びからの民俗資料の扱い方、地域に根差した博物館活動についてお話いただきました。黒沢浩氏は、モノとモノの関係に着目してきた考古学の視点から、モノと人の関係に着目する人類学との関係などから博物館展示における考古学の可能性についてお話いただきました。
その後、南山大学人類学博物館の見学をおこないました。総合討論では、特に「文化が担い手」が重視される昨今、博物館においてモノを介した人と人の関係がどのように結ばれるのか、有形のモノとそこに付随する無形の情報の重要性などが議論され、国際的な発信力を持つ施設も地域に根差した施設も、そこに関わるわたしたちもともに新たなミュージアムのかたちを創造する担い手となり得る可能性が示唆されました。
当日は約140名の方にお集まりいただきました。アンケートでは「フォーラムとしての博物館についての講演がとても興味深かった」、「地域の小さな博物館の存在意義を再確認した」といったコメントもあり、関心の高さをうかがうこともできました。