研究活動 活動報告
第2回公開シンポジウム「王と国家」
2022年03月30日
南山大学人類学研究所2021年度第2回公開シンポジウム「王と国家」
日 時:2022年3月30日(水) 14:00 ~ 17:00
会 場:ハイブリッド開催。南山大学Q棟Q103教室およびオンライン
主 催:南山大学人類学研究所
プログラム:14:00-17:00
趣旨説明
「中世ヨーロッパの巡幸王権」岡地稔・南山大学名誉教授
「ハワイ王国におけるカメハメハ大王の役割」後藤明・南山大学教授
「古代アンデスのインカ王とタワンティンスユ」渡部森哉・南山大学教授
ディスカッション
登録フォーム:
ご参加いただくには事前登録が必要です。ご参加される方は、下記よりお申込みください。(締切:3 月 30 日 17:00)
https://app.nanzan.ac.jp/regform/regist/univ/jinruikenreception/jinruiken220330
趣 旨:
歴史を作るのは支配者であるとしばしば言われる。歴史を文字記録とすれば、それは正しい。文字を扱うのは支配者層に限定されていたからである。そして王が支配するのが国である。一方、考古学では王が支配していたはずの国家をシステムとみなし、王はそのシステム上の駒の1つと見なされることが多い。
本シンポジウムは、王と国家の関係を、片方をもう片方に従属させ説明するのではなく、1つの実態の2つの見方、あるいは2つの側面と静態的に見なすのでもなく、王が国家に作用し、そして国家によって王が拘束されるというメカニズムを動態的に論じることを目的とする。
報 告:
王という個人と、国家という制度の関係について、地域、時代の異なる3つの事例について報告がされた。報告者はそれぞれ、歴史学、文化人類学、考古学を専門としている。今回のシンポジウムは、ある分析の枠組を当てはめるという構成ではなく、同一のテーマに関して議論することによって、互いの研究のヒントを得ることを目指した。個人の特質を議論するために、王の歴史的記録の存在する事例が取り上げられた。こうした議論を文字のない時代、地域にも展開することが今後の課題の1つである。
岡地報告は、中世ヨーロッパの巡行王権という政治形態について、ドイツとフランスの事例を比較しつつ検討した。後藤報告は、ハワイのカメハメハ王を取り上げ、ヨーロッパ人との接触時にどのような変化が生じており、その中でいかにカメハメハが台頭したのかを考察した。渡部報告は、古代アンデスのインカ帝国の拡張初期、スペイン人との接触時にどのような構造変化が生じつつあったのかを考察した。
本シンポジウムはハイブリッド形式で開催され、対面で12名、オンラインで38名の計50名が参加した。