研究活動 活動報告
(共催)公開シンポジウム「ミュージアムと『民族衣装』」(民族藝術学会第39回大会)
2023年04月22日
(共催)公開シンポジウム「ミュージアムと『民族衣装』」(民族藝術学会第39回大会)
民族藝術学会第39回大会を、4月22日(土)、23日(日)に南山大学で開催します。
1日目におこなうシンポジウムは、人類学研究所との共催とし、ハイブリッドで非学会員にも公開いたします。
日 時:2023年4月22日(土)、13:45 ~ 16:35
会 場:南山大学G30教室 および オンライン(Zoom)
主 催:民族藝術学会
共 催:人類学研究所
プログラム:
13:45~14:50 「趣旨説明」 宮脇千絵(文化人類学)
13:50~14:15 「ファッション展と民族衣装-アメリカのミュージアムを中心に」 平芳裕子(表象文化論)
14:15~14:40 「断片化する民族衣装:収集から展示までの過程に着目して」 佐藤若菜(文化人類学)
14:40~14:50 休憩
14:50~15:15 「文化学園服飾博物館における『民族衣装』の展示」 村上佳代(服飾)
15:15~15:40 「衣の民具とキュレーション-展示における自己と他者」 加藤幸治(民俗学)
15:40~15:55 「コメント」 杉本星子(文化人類学)
15:55~16:05 休憩
16:05~16:35 討論
お申込み:
▶民族藝術学会員の方は学会ホームページをご覧ください ⇒ こちらから
・対面実施です。大会参加登録の締め切りは4月10日、参加費振込の締め切りは4月15日です。
▶民族藝術学会の非会員の方はオンライン(Zoom)でご参加いただけます(無料)。
下記URLよりお申込みください。
・登録後、自動返信されるメールにZoom情報があります。当日はそちらからご参加ください。
・登録締め切り 4月22日(土)13:30
https://app.nanzan.ac.jp/regform/regist/univ/jinruikenreception/20230422
趣 旨:
衣服は、それを着用する人のさまざまな情報(文化的背景や社会的なポジション、個人のアイデンティティなど)を視覚的に、かつ即時的に伝えるものである。しかしひとたびミュージアムに収集・展示されると、それが存在していた文化的・社会的な文脈からの分断のみならず、それを身に着けるはずの身体からも切り離されることとなる。ミュージアムでは、身体を失った衣服のどのような側面に注目し、展示してきたのだろうか。
ミュージアムにおいて「異文化の器物」が「美術」へと仕立てられてきた歴史、および民族学博物館と近代美術館の差異をめぐって展開されてきた議論は、民族名や地域名が表記される「民族衣装」の展示と、デザイナーやブランド、時代の変遷を表象するファッション展示との関係にも通ずる。ただし元来身体性をともなう衣服は、異文化/自文化、器物/美術といった明確な線引きで振り分けられるものでもない。
そこで本シンポジウムでは、「民族衣装」展示がどのように展開されてきたのかを、「民族衣装」研究、ファッション展示研究、民具研究の視点から探る。
報 告:
民族藝術学会第39回大会を南山大学で開催するのに伴い、学会内シンポジウムを人類学研究所で共催するかたちとした。「ミュージアムと「民族衣装」」をテーマに、分野の異なる発表者を4名、コメンテーターを1名お迎えした。
平芳裕子氏は、20世紀初頭のアメリカの博物館や美術館でのファッション展において「民族衣装」が参照されてきたこと、それが20世紀後半におけるファッション展の発展に寄与したことを報告した。佐藤若菜氏は、中国の少数民族ミャオ族を事例に、博物館に展示される衣装が収集されるプロセスについて自身のフィールドワークの成果も交えて報告した。村上佳代氏は、文化学園服飾博物館のキュレーターという立場から、同館の「民族衣装」コレクションと展示の際のアプローチ法や工夫を報告した。加藤幸治氏は、民具のキュレーションの経験を踏まえ、衣服展示の際にいかに着ることのアクチュアリティを保持できるかの関し報告をおこなった。コメンテーターの杉本星子氏からは、「衣装」の展示情報空間を縦軸に、「民族」衣装の生成を横軸にした表を用いた分析が提示された。
当日は対面参加の民族藝術学会員に加え、非学会員にもオンラインから多く参加いただいた。時間が足りずディスカッションを十分におこなうことができなかったが、参加者からいただいたコメントを活かし、今後に繋げていきたい。(文責:宮脇千絵)