研究活動 活動報告
第1回公開シンポジウム「ワリ帝国を掘る」
2023年06月28日
第1回公開シンポジウム「ワリ帝国を掘る」
日 時:2023年6月28日(水)、14:00 ~ 17:00
会 場:ハイブリッド開催 南山大学Q103教室およびオンライン
言 語:スペイン語
主 催:南山大学人類学研究所
共 催:文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(A)「古代アンデスのワリ帝国 の社会構成と地方社会の実態」、文部科学省科学研究費補助金 新学術領域「出ユーラシア」A03班
プログラム:
・Los animales sagrados en Wari: representaciones simbólicas desde la cosmovisión andina
ワリにおける聖なる動物:アンデスの世界観における象徴の表象
Martha Cabrera Romero マルタ・カブレラ・ロメロ(ペルー国立ワマンガ大学)
・Nuevos aportes acerca del primer imperio andino: Wari
アンデスの初期帝国についての新発見:ワリ
José Ochatoma Paravicino ホセ・オチャトマ・パラビシノ(ペルー国立ワマンガ大学)
日本語通訳・解説 渡部森哉(南山大学人類学研究所)
・質疑応答
参加登録:
ご参加いただくには事前登録が必要です。ご参加される方は、下記よりお申込み ください。
(締切:6月 28日 17:00)
https://app.nanzan.ac.jp/regform/regist/univ/jinruikenreception/jinruiken230628
趣 旨:
南米アンデス地域には15−16世紀にインカ帝国が台頭し、スペイン軍 に滅ぼされた。そのインカ帝国の祖型とされるのがワリ帝国である。ペルー中央 高地南部のアヤクーチョ地方にあるワリ遺跡を首都として8−10世紀に台頭した。 本シンポジウムでは、ワリ遺跡を発掘している2名の研究者をお招きして、最新 の成果についてご講演いただく。そこから人類史における帝国の意義などを考え てみたい。
報 告:
今回、6月30日から7月2日に開催された、文部科学省科学研究費補助金 新学術領域「出ユーラシア」の国際シンポジウムに参加するためにペルーから来日した2人の研究者をお招きして公開シンポジウムを開催した。文部科学省科学研究費補助金 新学術領域「出ユーラシア」A03班が共催となっている。
2人はペルーの国立サン・クリストバル・デ・ワマンガ大学の教員である。2012年よりワリ帝国の首都ワリ遺跡の発掘調査を実施している。
マルタ・カブレラ氏は、ワリ遺跡、および近隣のコンチョパタ遺跡から出土した遺物、特に土器に表現された動物図像の分析を行った。アンデスの宇宙観では、世界を天、地上、地下の3つの面に分類する。図像に表現されたそれぞれの動物を3つの面のいずれかに分類してその役割を考察した。
ホセ・オチャトマ氏は、ワリ遺跡の発掘の詳細について説明した。ベガチャヨフ・モホ、モンハチャユフ、カピリャパタ、セロ・サン・クリストバル、チュパパタの5つの地区での発掘のデータに基づき、ワリ遺跡における儀礼の実態について説明した。また、ワリの人々が地方の人々を捕縛したことを示した図像表現があるという解釈を提示した。
ワリ研究の最も豊かなデータに基づく、極めて刺激的なシンポジウムであった。(文責:渡部森哉)