研究活動 活動報告
第1回公開講演会「真実をあぶりだす技法:エチオピア南東部アルシ社会の慣習法廷における宣誓の役割」
2023年09月17日
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第1回公開講演会「真実をあぶりだす技法:エチオピア南東部アルシ社会の慣習法廷における宣誓の役割」
日 時:2023年9月17日(日)、14:00 ~ 16:00
会 場:南山大学S46教室・オンライン(Zoom)
主 催:南山大学人類学研究所
講演者:大場千景(アルシ大学人文・社会科学研究科・助教/大阪公立大学・客員研究員)
使用言語:日本語
プログラム:
14:00~14:05 「挨拶」 宮脇千絵(南山大学人類学研究所・准教授)
14:05~15:10 「真実をあぶりだす技法:エチオピア南東部アルシ社会の慣習法廷における宣誓の役割」
大場千景(アルシ大学人文・社会科学研究科・助教/大阪公立大学・客員研究員)
15:10~15:25 「コメント」石原美奈子(南山大学人類学研究所/人文学科人類文化学科・教授)
15:25~15:35 休憩
15:35~16:00 質疑応答
(司会進行:宮脇千絵)
参加登録:
対面参加・オンラインともにご参加いただくには事前登録が必要です。ご参加される方は、下記よりお申込みください(締切:9月 17 日 14 時 00 分)
*8/31(木)17:30~18:30の間、システムメンテナンスにより受付停止します。
https://app.nanzan.ac.jp/regform/regist/univ/jinruikenreception/ethiopia
*登録後、自動返信されるメールにZoomのリンクを掲載しています。当日はそこからご接続ください。
*お申し込み後に、対面参加とオンライン参加を変更していただいてもかまいません。またその際にご連絡いただく必要はありません。
趣 旨:
講演では、エチオピアの南東部に位置するアルシ社会においてガダと呼ばれる伝統的政治組織が実践している慣習法廷について焦点を当てる。国民国家制度が全世界を席巻するまで、世界各地ではそれぞれ独自の統治の方法が編み出されてきた。アフリカにおいては、王制、首長制、そして氏族組織や年齢階梯を基盤とした統治の制度が存在し、そこには、共通して、多元的な法体系とそれに基づく慣習的な法廷が生み出され、それが統治の基本構造となっている。国民国家体制が成立している現在においても、アフリカの各地では、伝統的な統治組織、慣習法や法廷は、人々の係争問題を解決する場として機能している。
本講演では、アルシ社会における伝統的な統治の在り方、法体系を概観したあと、彼らの慣習法廷において、どのような係争がどのように調停されているのか、彼らの独特な問題解決方法について事例を挙げながら解説する。特に、被告が訴えられている罪を認めない場合、最終的にどのようにして事件の真実を明らかにするのか、についてカクと呼ばれる宣誓という慣習とそこに関わる独特な世界観を分析しながら考察したい。
報 告:
エチオピア・アルシ大学で教鞭を取る大場氏にご講演いただいた。アルシ社会独自の慣習法について、法ごとの罰則の特徴、独特な裁定様式などが紹介され、彼らがいかに係争を調停し、和解へと導くのかが具体的な事例とともに考察された。映像資料も交えながら、長きにわたり現地社会に密着して調査を行ってきた大場氏の臨場感ある発表に引き込まれた。
その後、同じくエチオピアをフィールドとする石原氏からイスラームやキリスト教とガダ組織の関係や、都市部と農村との違いなどに関して質問・コメントが行われた。参加者は対面、オンラインを合わせて15名であった。(文責:宮脇千絵)