研究活動 活動報告
第1回懇話会「合評会:坂井信三(著)『異なる者の出会いと共存―西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝』を読み、語る」
2024年10月19日
第1 回懇話会「合評会:坂井信三(著)『異なる者の出会いと共存―西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝』(2024 年2 月刊行、春風社)を読み、語る」
日 時:10月19日(土) 15:00〜17:00
会 場:南山大学人類学研究所1階会議室
主 催:南山大学人類学研究所
共 催 :科学研究費助成事業・基盤(B)「「北部アフリカ」におけるイスラーム的知識の生成・共有と社会変革の論理」研究班(研究代表者:齋藤剛)
参加申込み:
参加をご希望される方は、開催日1週間前を目安に、中尾世治(nakao.seiji(a)hotmail.co.jp)までご連絡ください。
プログラム:
1.「趣旨説明」 中尾世治(京都大学大学院・准教授)
2.「自著について」坂井信三(南山大学・名誉教授)
3.「コメント1」 中尾世治
4.「コメント2」 齋藤剛(神戸大学大学院・教授)
(休憩 16:15~16:30)
5.総合討論
(司会:吉田竹也(南山大学人類学研究所・教授/第二種研究所員))
趣 旨:
坂井信三南山大学名誉教授・元人類学研究所長が 2024 年に出版した南山大学学術叢書『異なる者の出会いと共存――西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝』について、坂井信三名誉教授を囲みながら、フランクなかたちで合評会を行う。
同書は、西アフリカ諸民族の社会・文化の構造研究を基盤としつつ、西アフリカのイスラームの歴史人類学的研究に長年携わってきた著者が、19 世紀~20 世紀初頭における3 名のムスリム知識人に焦点を当て、彼らそれぞれの生涯と思想がそれぞれの生きた時空間や社会・文化とどのように切り結んでいたのかを、口頭伝承や文書記録にもとづき描くことを通して、この地におけるイスラームと在地の社会・文化との出会いと共存について考察したものであり、坂井名誉教授のこれまでの研究を総括する位置づけにある研究である。
合評会では、まず、企画発起人であり西アフリカイスラームの研究者である中尾世治京都大学大学院准教授から趣旨説明を行ったうえで、マグリブのイスラーム研究者である斉藤剛神戸大学大学院教授からのコメントを切り口として、出席者から順次コメントを出し合い、質疑応答、討議を行う予定である。
報 告:
本懇談会は、坂井信三先生から教えを受けた研究者を中心に、坂井先生の新著『異なる者の出会いと共存――西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝』の合評会として企画され、元ゼミ生を中心に16名の研究者・(元)大学院生が参加しました。
まず、著者の坂井先生からは、本書の各部に対応する三人の聖者についてのフィールドワークでの「助手」、あるいは「導き手」との関係や彼らが果たした役割についての発表がなされた。つづく、コメントでは、まず、中尾世治氏が、西アフリカ・イスラーム史研究のなかでの同書の位置づけについて述べ、つぎに、齋藤剛氏は、坂井先生との思い出をふりかえりつつ、人類学的聖者論ではなく、人類学的聖者伝として、ホーリスティックに「ひと」との関係を論じた点の可能性について指摘した。総合討論では、司会の吉田竹也氏の進行のもと、参加者の坂井先生のゼミ生時代の思い出やそれぞれのフィールドワーク経験などと関連づけながら、本書の意義について議論をおこなった。
坂井先生の研究を手掛かりとして、元ゼミ生と思い出を共有しつつ、それぞれの人類学を考える会となった。
(文責:中尾世治)