活動/イベント イベント情報 懇話会
南山大学社会倫理研究所2023年度第1回懇話会
2023年09月13日
2023年度第1回懇話会開催のお知らせ
下記の通り懇話会を開催致しますので、ご案内申し上げます。 どなたでも参加自由(無料)、申込不要です。
日時 | 2023年10月22日(日) 14:00~17:15 | ポスターを見る |
---|---|---|
場所 | 南山大学M棟 MB11教室 | |
共通テーマ | 〈われわれ〉は何を引き受けるのか | |
全体趣旨 | 自分がやっていないことに罪はない。この当たり前の原則が立ち行かなくなる場面がある。グループや組織、共同体、国家などの集団が問題を生じさせる場面である。例えば、企業が地域住民や消費者に甚大な危害を与える活動を行ったとき、その企業の社員は自分に罪はないと言えるのか。言えるとしたら、どのような場合に、どのような意味においてだろうか。あるいは、問題の起きた集団に属しているだけで、何らかの罪があるということはあるのだろうか。ハンナ・アーレントは、ナチス・ドイツの統治下にあったドイツ国民の罪をめぐって、全ての者に罪があるなら、誰にも罪がないのと同じである、と論じた。しかし同時に、アーレントは、当時の多くのドイツ国民には、罪はないが責任はあるとも論じる。
そうだとすれば、重なり合う様々な様相を持つだろう〈われわれ〉は、自身が属する集団の行いについて、どのような責任を引き受けるべきなのか。そして実際に、何を引き受け、あるいは何を引き受けて来なかったのか。〈われわれ〉の罪や責任、過ちを認めるとはどういうことか。それを決める資格を持つのは誰なのか。 今回はこのような、社会的存在であるわれわれが不可避に関わりながら、その複雑さゆえに遠ざけてしまう〈われわれ〉の問題について、自身が当事者として、あるいは当事者と関わりながら研究と実践を重ねる、気鋭の研究者たちをお招きして議論を行いたい。 |
演題1 | 「われわれ」でも「私」でもない場所で |
---|---|
報告者1 | 石原真衣(いしはら・まい)(北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授) |
趣旨 | 本報告では、当事者/非当事者、被害者/加害者という二元論的認識について考えてみたい。また、罪と責任についての思索を深める上で、「主語の大きさをいかにアジャストするか」についても議論したい。 |
演題2 | 何が責任=応答を妨げているのか |
報告者2 | 西井開(にしい・かい)(千葉大学大学院社会科学研究院/日本学術振興会特別研究員PD) |
趣旨 | 本報告では、ジェンダーの視点を経由しながら、直接暴力を加えた加害者(ミクロ)、暴力の傍観者(メゾ)、そしてマジョリティとしての男性(マクロ)という3つの次元における責任について考察する。具体的には、各責任の類似点や相違点を概観するとともに、各領域において何が責任の出現を妨げ、また何が責任を呼び起こすのかを検討する。 |
討論者 | 除本理史(よけもと・まさふみ)(大阪公立大学大学院経営学研究科教授) |
司会 | 西本優樹(にしもと・ゆうき)(南山大学社会倫理研究所プロジェクト研究員/日本学術振興会特別研究員PD) |
報告者紹介 | |
---|---|
石原真衣 | |
《略歴》 | 北海道サッポロ市生まれ。アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル。北星学園大学文学部英文学科卒。高校、専門学校等で勤務したのち、北海道大学大学院文学研究科に入学し、同大学院博士後期課程修了。博士(文学)。 |
《専門領域》 | 文化人類学、先住民フェミニズム |
《主要著作》 |
著書『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー):サイレント・アイヌの痛みと救済の物語』北海道大学出版会(2020年、大平正芳記念賞受賞)
|
西井開 | |
《略歴》 | 立命館大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。臨床心理士。公認心理師。立命館大学人間科学研究所男性問題相談室(DV加害者更生カウンセリング)所属。モテないことに悩む男性たちの語り合いグループ「ぼくらの非モテ研究会」発起人。 |
《専門領域》 | 臨床社会学、加害者臨床 |
《主要著作》 | 『「非モテ」からはじめる男性学』集英社新書、2021年。 |
除本理史 | |
《略歴》 | 1999年3月、一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学(2002年、博士学位取得)。東京経済大学を経て2011年4月より大阪市立大学に勤務。 |
《専門領域》 | 環境政策論・環境経済学 |
《主要著書》 | 『公害から福島を考える――地域の再生をめざして』(岩波書店、2016年)
『きみのまちに未来はあるか?――「根っこ」から地域をつくる』(共著、岩波ジュニア新書、2020年) 『「地域の価値」をつくる――倉敷・水島の公害から環境再生へ』(共編著、東信堂、2022年) |
主催 | 南山大学社会倫理研究所 |
---|---|
共催 | 科学研究費助成事業「補完性原理の理論的・実証的検討を通じた自律と連携の「間」に関する社会倫理学的研究」(基盤研究(B)、研究代表者:奥田太郎、研究課題番号:22H00604)
科学研究費助成事業「ブランダム責任論を用いた企業事故をめぐる加害企業と被害者の応答責任論の構築」(特別研究員奨励費、研究代表者:西本優樹、研究課題番号:23KJ2064) |
連絡先 | 南山大学社会倫理研究所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18 E-mail: ise-office@ic.nanzan-u.ac.jp |
*本研究所主催懇話会では、記録のために写真撮影と録音を行なっております。 |