活動/イベント 懇話会
南山大学社会倫理研究所2024年度第1回懇話会
2024年05月16日
2024年度第1回懇話会開催のお知らせ
下記の通り懇話会を開催致しますので、ご案内申し上げます。 どなたでも参加自由(無料)、申込不要です。
日時 | 2024年6月15日(土) 14:00~17:15 | ![]() ポスターを見る |
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場所 | 南山大学G棟 G30教室 | |
共通テーマ | 謝罪の論理:〈われわれ〉は何を引き受けるのかII | |
全体趣旨 | 謝罪には奇妙な特徴がある。自分がやっていないことでも人は謝罪を行い得るし、時としてそれを求められることもある。親が子の、あるいは子が親の行いを謝罪する。校長が学生の不祥事を謝罪する。経営者が自社の過去の事故を謝罪する。国家が過去の不正な行為を謝罪する、等々。謝罪は、直接の加害者と被害者の中でのみ生じるとは限らない。この点から言えば、謝罪の特徴の一つは、他の誰かにも担われ得る点にある。
しかし、なぜそうなのか?ハンナ・アーレントは、ナチス・ドイツの統治下にあったドイツ国民の罪を論じる中で、当時の多くのドイツ国民には、罪はないが責任はあると論じた。このように罪と責任の峻別が可能なら、謝罪はもっぱら関係者の責任において引き受けられる点に特徴がある、そう言い得るかもしれない。しかし、その場合の適切な謝罪の主体は誰なのか。その謝罪はどのような理由で行われるのか。謝罪が受け入れられるのはどのようなときか。それは赦しを意味するのか。 今回はこのような、日常にありふれた実践でありながら、時として不可解にも大きな困難にもなり得る謝罪の諸相を取りあげ、その論理をめぐって考察を進める気鋭の研究者をお招きして議論を行いたい。 |
演題1 | 集合的責任と謝罪 |
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報告者1 | 古田徹也(ふるた・てつや)(東京大学大学院人文社会系研究科准教授) |
趣旨 | 謝罪の主体は、ときにかなりの程度まで拡張されうる。では、その限界はどこにあるのだろうか。本講演では、ハンナ・アーレントの「集合的責任」という概念を手がかりにこの問題を考えることで、「謝罪」という概念自体の捉え直しも図る。 |
演題2 | 企業責任と謝罪の諸相 |
報告者2 | 西本優樹(にしもと・ゆうき)(南山大学社会倫理研究所プロジェクト研究員/日本学術振興会特別研究員PD) |
趣旨 | 企業が謝罪するとき、誰がどのような種類の責任を引き受けるのか。大気汚染公害をめぐる企業の対応を事例に、言語哲学の立場の一つである推論主義を用いて、謝罪と責任の一筋縄ではいかない関係を検討する。 |
討論者 | 安倍里美(あべ・さとみ)(神戸大学人文学研究科講師) |
司会 | 奥田太郎(おくだ・たろう)(南山大学社会倫理研究所第一種研究所員/人文学部教授) |
報告者紹介 | |
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古田徹也 | |
《略歴》 | 2011年 東京大学人文社会系研究科 博士課程修了
2013年 新潟大学人文社会・教育科学系 准教授 2017年 専修大学文学部 准教授 2019年 東京大学大学院人文社会系研究科 准教授【現在に至る】 |
《専門領域》 | 近現代の西洋倫理学・西洋哲学 |
《主要著作》 | 著書に『謝罪論――謝るとは何をすることなのか』(柏書房、2023年) |
西本優樹 | |
《略歴》 | 2023年 北海道大学文学研究科 博士課程修了
2023年 南山大学 社会倫理研究所 プロジェクト研究員 / 日本学術振興会特別研究員PD 【現在に至る】 |
《専門領域》 | 企業倫理、推論主義、集団責任論 |
《主要著作》 | 論文に「企業の道徳的行為者性をめぐる企業の意図の問題:推論主義に基づく検討」(応用倫理:理論と実践の架橋、2021年)他。
共著書に『理論とケースで学ぶ 企業倫理入門』白桃書房、2022年3月)他 |
安倍里美 | |
《略歴》 | 2018年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学
2019年〜2021年 京都大学大学院文学研究科 人文学連携研究者 2020年〜2021年 三重大学人文学部 文化学科 特任講師 2021年〜現在 神戸大学大学院人文学研究科 講師 |
《専門領域》 | 倫理学 |
《主要著書》 | 「予防医療―私たちが目指す「健康」とはどのようなものか」、『3STEPシリーズ 応用哲学』第9章、昭和堂、2023年。
「理由―「道徳性」ではなく「規範性」から出発する」、『3STEPシリーズ 倫理学』第13章 「昭和堂、2023年。 「義務の規範性と理由の規範性―J.ラズの排除的理由と義務についての議論の検討ー」、『イギリス哲学研究』、2019年。 |
主催 | 南山大学社会倫理研究所 |
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共催 | 科研費23K21876、23KJ2064 |
連絡先 | 南山大学社会倫理研究所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18 E-mail: ise-office@ic.nanzan-u.ac.jp |
*本研究所主催懇話会では、記録のために写真撮影と録音を行なっております。 |