いつでも「産める」と思っていますか？

「生殖補助医療」（いわゆる「不妊治療」）という言葉を知っていますか。現在、日本では、6組に1組のカップルが不妊であると言われています。カップルの配偶子（精子・卵子）を用いた人工授精や体外受精等により子を妊娠・出産するのが一般的ですが、何等かの理由により、カップルの力だけでは子を妊娠・出産することが出来ない場合には、匿名・非匿名の第三者が関与する提供型生殖補助医療や代理懐胎により子をもつこともあります。とりわけ、第三者が関与する生殖補助医療においては、当事者（提供者・被提供者・代理母・提供または代理母により生まれてきた子）の関係性が複雑なものとなりますが、その法的地位（親子関係・出自を知る権利・面会交流等）はどのようになるのでしょうか。日本には生殖補助医療に関する法律はまだ存在していません。本セミナーでは、生殖補助医療の現状とこれに関する法的課題について考えてみたいと思います。

2007年3月大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程単位取得満期退学、修士（国際公共政策）。2007年4月より椙山女学園大学現代マネジメント学部専任講師、2009年4月より摂南大学法学部専任講師を経て2012年4月より熊本大学大学院法曹養成研究科准教授。

民法（家族法）

• 「生殖補助医療と親子法－生殖補助医療子の法的地位を中心に－」日比野由利編『グローバル化時代における生殖技術と家族形成』（日本評論社，2013年）
• 「ニュージーランドにおける養育費履行確保制度－日本への示唆として－」『家族法と社会保障法の交錯―本澤巳代子先生還暦記念』（古橋エツ子・床谷文雄・新田秀樹編）（信山社2014年）所収
• 「ニュージーランド」『親権法の比較研究』（床谷文雄・本山敦編）（日本評論社，2014年）所収など。