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南山大学社会倫理研究所2020年度第3回懇話会
2020年06月15日
2020年度第3回懇話会(設立40周年記念シリーズ懇話会3:「いのちの支援」研究プロジェクト)開催のお知らせ
下記の通り懇話会を開催致しますので、ご案内申し上げます。 どなたでも参加は自由(無料)です。参加に際しては、事前に受付フォームよりお申し込みください。(定員20名:受付を終了しました)
日時 | 2020年6月27日(土) 14:00~17:30 | ポスターを見る |
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開催形式 | オンライン(Zoomミーティングを使用:詳細は参加申込者に直接お伝えします) | |
共通テーマ | 依存症と責任 | |
全体趣旨 | 有名人の逮捕など、メディアで依存症について報道を見聞きする機会は多い。依存症は限られた個人にだけ起こる特異な問題だと感じる人も少なくないだろう。そして、依存症に対しては、あってはならないものとして厳しい目が向けられがちである。しかし、果たして私たちは依存症に対して適切な理解をしているだろうか。たとえば、日本では、依存症について自己責任論で語られる傾向があるが、依存症は、意志が強いか弱いかという要因に尽きるのだろうか。 本懇話会では、精神科医として依存症の臨床現場に携わる小林桜児先生、そして、倫理学的な観点から依存症の研究を続けている佐々木拓先生をお招きして、参加者の皆さんとともに、依存症と責任について議論していきたい。 |
演題1 | 依存症は自己責任の病なのか?:精神病理と回復過程を検証する |
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報告者1 | 小林桜児(こばやし・おうじ)(神奈川県立精神医療センター 医療局長) |
趣旨 | 依存症者の行動は従来、一般社会では道徳論、医学界では脳障害という範疇で語られてきた。しかし前者は自己責任を問うて患者の社会復帰を語れず、後者は「やめられない脳」を明らかにして回復過程は説明できない。本発表では「なぜやめられたのか」という回復に対する問いから、発症の精神病理へと遡って検証することにより、刑罰や治療という患者個人に矮小化された視点を離れ、複眼視的、重層的な依存症の理解と支援のあり方を提案する。 |
演題2 | 第三者による非難は適切でありうるか:薬物依存症の事例 |
報告者2 | 佐々木拓(ささき・たく)(金沢大学 人間社会研究域 人間科学系 准教授) |
趣旨 | 「悪いことをした」という理由だけで見ず知らずの人を好き勝手に非難することは許されるのだろうか。違法薬物使用をめぐる議論では、「違法薬物使用は不正で非難されるべき」「依存症は病気でむしろ治療が必要だ」といった、非難される側の特徴に注目が集まるが、非難する側の特徴はしばしば見過ごされる。報告ではスキャンロンの非難の関係性説に基づきながら、他者の問題行動に対する適切な応答とその条件を考察する。 |
討論者 | 藤城聡(ふじしろ・そう)(愛知県精神保健福祉センター 所長) |
司会 | 森山花鈴(南山大学社会倫理研究所 第一種研究所員/准教授) |
報告者紹介 | |
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小林桜児 | |
《略歴》 | T2000年信州大医学部卒。横浜市立大学附属病院、神奈川県立精神医療センター、国立精神・神経医療研究センター病院を経て、2014年12月より神奈川県立精神医療センター依存症診療科長。2018年4月より同センター医療局長。 |
《専門領域》 | 依存症全般とその併存精神障害の精神病理と治療 |
《主要著作》 |
「アルコール・薬物依存症の治療-解離という視点から」精神科臨床エキスパート『依存と嗜癖-どう理解し、どう対処するか』医学書院、2013年。 |
佐々木拓 | |
《略歴》 | 2008年、京都大学より博士(文学)を取得。 2016年9月より、金沢大学人間社会研究域人間科学系准教授。 |
《専門領域》 | 現代責任論、17-8世紀イギリス道徳哲学 |
《主要著書》 |
「薬物依存症者に対する適切な非難のあり方--非難の関係性説に基づ く依存行動への対応」榊原英輔・田所重紀・東畑開人・鈴木貴之編『心の臨床を哲学する:Philosophy of Psychiatry & Psychology』新曜社、2020年。 |
藤城聡 | |
《略歴》 | 1990年名古屋大学医学部卒。総合病院、公立、私立の精神科病院で統合失調症などの精神疾患の診療に従事。2011年、愛知県精神保健福祉センター保健管理監。2015年4月より、同センター所長。 |
《専門領域》 | 地域精神保健福祉、精神療法、精神病理学 |
《主要著書》 |
「重症統合失調症患者にみられた「接近恐怖」」『精神療法』33(4)、2007年。 |
主催 | 南山大学社会倫理研究所 |
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共催 | 科学研究費助成事業「レジリエンスの倫理的妥当性を支える持続可能性と補完性に関する社会倫理学的研究」(基盤研究(B)、研究代表者:奥田太郎、研究課題番号:19H01189) |
連絡先 | 南山大学社会倫理研究所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18 E-mail: ise-office@ic.nanzan-u.ac.jp |
*本研究所主催懇話会では、記録のために写真撮影と録音を行なっております。 |