研究所紹介
設立の理念
南山大学社会倫理研究所は、1980年5月に設立されました。(当初、南山経済倫理研究所という名称でしたが、翌年6月に改称されました。)
南山大学はカトリック大学として、キリスト教精神のもとに、諸科学の統一と学問の本来の目的の回復を志向してきました。しかし、20世紀を通じて経済の成長が社会の急速な世俗化をもたらすとともに、自然科学や社会科学の発展が、学問分野の際限なき細分化、専門分化を引き起こしたため、「諸科学の統一」という理念を実現することは困難になっています。他方、世界はいまや環境問題、民族問題、グローバリゼーションに伴う富の偏在と貧困の拡大、戦争と平和、科学技術の社会的制御など、細分化した諸学によっては解決不可能な問題を抱えています。
このような状況の中で、南山大学は自然科学や社会科学の推進に十分な配慮をしつつ、「人間の尊厳のために」というモットーを掲げ、包括的な視点から現代社会における倫理的問題に取り組むべく、社会倫理研究所を設立したのです。
研究所のスタッフ・施設・活動
研究所スタッフ
社会倫理研究所は、現在、専任の研究所員(第一種研究所員)、客員研究所員、学部と兼任の研究所員(第二種研究所員)、学外の共同研究者(非常勤研究員)、事務室職員から構成されています。それぞれの専門領域は哲学、倫理学、法学、政治学、歴史学、社会学、経済学など多岐にわたっており、様々なテーマの研究プロジェクトを共同で進めています。
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社会倫理研究所図書室
社会倫理研究所の図書室では、社会倫理に関係する図書を重点的に、和書約8,500冊、洋書12,500冊、あわせて約21,000冊が所蔵されています。また、故松山昌司先生よりご寄贈いただいた松山学術文庫(3,850冊)、故水波朗先生よりご寄贈いただいた水波学術文庫(7,491冊)も所蔵されています。松山学術文庫は、社会科学に関わる倫理的問題を考察する上での重要文献をその特徴としており、水波学術文庫は、カトリック社会倫理学に関わる重要文献をその特徴としています。学生、教員、職員、その他市民の方々に広く利用していただけます。
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研究所の活動
社会倫理研究所では、現代の社会倫理的な問題について様々な学術的活動に取り組んでいます。
研究所が定期刊行している機関学術雑誌『社会と倫理』では、綿密な企画に基づき、学際的な観点から重要な倫理的諸課題を扱った特集や論文、近刊の学術書への書評を毎号お届けして、既存の学術共同体の作法では扱い切れない部分にまで触れうるような議論の提供を目指しています。
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また、学内外(国内外)の研究者や実践家とともに、特定テーマ(「公正と平和」、「国際社会と倫理」、「ガバナンスと環境問題」等)に基づく学際的共同研究プロジェクトを継続的に実施しています。さらに、講師を招いて懇話会、ワークショップ、シンポジウムなどを開催し、様々なテーマについて広く市民の方々に議論を開くことを試みています。その記録や成果の一部については、書籍やパンフレット形式で刊行し、オンラインでもPDF版を公開しています。
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