南山大学人類学博物館

背景

展示室紹介 常設展示

展示室内のほぼすべてがガラスケースを用いない露出展示となっており、展示資料をお手に取ってご覧いただけます。来館者は研究者と同じ距離で資料に接し、学習することができます。また、時代や地域別ではなく、収集過程別に資料を展示しています。「どういう目的で、誰が、いつ収集した資料か」を知ることで、南山大学の人類学研究の発展を理解しやすいようになっており、4つの展示カテゴリーに分かれています。

展示資料の解説は日本語、英語、スペイン語、中国語、アラビア語、フランス語、ポルトガル語、韓国語、点字のものがあります。

信仰と研究

南山大学の母体となる、「神言修道会」に所属していた神父によって収集された資料群です。J・マリンガー神父が収集した、ヨーロッパの旧石器時代の石器(通称マリンガー・コレクション)や、G・グロート神父が収集した、縄文時代の考古資料(通称グロート・コレクション)などが展示されています。

南山大学の人類学・考古学研究

南山大学所属の教職員や学生の調査・研究によって収集された資料が、このカテゴリーには集められています。南山大学の教員によって編成された「南山大学東ニューギニア調査団」によって、60年代に収集されたパプアニューギニアの民族誌資料や、名古屋市熱田区の高蔵(たかくら)遺跡や同市瑞穂区の瑞穂遺跡などから発掘された弥生土器が展示されています。

南山に託す

このカテゴリーでは、他の機関からの寄贈によって当館の所蔵品となった資料が展示されており、西江雅之コレクション、上智大学西北タイ歴史・文化調査団資料、大須二子山古墳出土資料がこれに当たります。

西江雅之コレクションは言語学・文化人類学者でもある故・西江雅之氏が世界各地を旅して蒐集した資料群です。その蒐集地域はアフリカ、ニューギニア、アメリカ、アジア等広範囲にわたるもので、様々な文化を比較してみることができます。

上智大学西北タイ歴史・文化調査団資料は、60年代後半から70年代はじめにかけて上智大学の調査団によって収集された、民族衣装や儀礼関係資料です。タイ北部に居住する少数民族の基礎研究資料として、価値が高い資料群です。

当館の大須二子山古墳出土資料は、建設工事によって破壊されつつあった墳丘から、郷土史家らによって採集されたものです。これらの資料は、名古屋市の指定文化財に登録されています。展示室では、挂甲、馬具、埴輪、鏡などを展示しています。

昭和のカタログ

主に昭和30年代から40年代のくらしの品々を、「商品カタログ」のように展示しています。現在では、現代生活史資料を収集・展示する博物館は少なくありませんが、当館で収集が始まった1980年代前半においては、珍しい試みでした。他館に先駆けた時期に資料収集が行われたことで、多種多様な生活用品を網羅的に所蔵することになりました。

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