沢登 文治
専門
アメリカ憲法の歴史、フランス人権宣言の成立史、受刑者の人権について研究してきました。最近は、内閣による議会解散権を、英コモンウェルス諸国と対比しながら、日本の状況について考えようとしています。
研究を始めたきっかけ
大学院生の時に、約1年間、ロータリー財団奨学金を得て、アメリカのカリフォルニア州サクラメントに留学する機会を得ました。それが1986~87年でした。偶然1987年は〈アメリカ合衆国憲法制定200周年〉でした。大学でもテレビでも、アメリカ憲法の成立史、その意義などについて、さまざまな議論がされていました。そこで、アメリカ合衆国を形作った、その憲法の本質は何か、理解しようと思い修士論文のテーマに設定しました。
研究の学術的意義
アメリカ政府というと、誰でもワシントンDCやアメリカ大統領を思い浮かべます。またアメリカ最高裁判所の判決が、日本など他国に大きな影響を与えることもあります。ですが、多くの人々の日常生活は州の法律や行政の下で営まれ、連邦政府と州政府の間の権限配分のあり方が〈連邦制〉においては大きな問題となります。つまり連邦権限が強化され州に拡がると、州の権限・独立性が脅かされる。そのように両者間で、常に綱引きが行われ物事が進展していくところにアメリカのダイナミズムが生まれてきます。そのメカニズムを解明し理解することができます。
研究の社会的意義
アメリカ憲法の基本原理の1つは、〈連邦制〉です。州が50あり、それとは別に連邦政府があり、それぞれが議会・知事や大統領・裁判所を独立して持っている。日本は中央集権で〈地方自治〉の体制なので、都道府県はそれほどの独立性を有さない。そのせいか、〈連邦制〉に関心がないのですが、カナダ、オーストラリア、その他ドイツなど、多くの国は〈連邦制〉で、その視点で国の基本を見ることは、それら諸国を理解する早道だと思います。
将来の研究の展望
アメリカの〈連邦制〉に関する研究は拙著にまとめたので、現在は、研究対象を日本に戻して、連邦制・大統領制ではなく、議院内閣制の国々における権限配分―内閣(首相)と議会(衆議院)の間での綱引き―について探究しています。イギリス、カナダ、オーストラリアなどは日本と同様、議院内閣制ですが、その綱引きの道具、〈解散権〉の現実的な実践においては大きな違いがみられます。日本の将来を考えるにも、この現実を直視したいと思います。
代表著書
研究者紹介
