鈴木 達也
専門
私の専門は「理論言語学(生成文法理論)」で,主に英語統語論について研究していますので,「英語学」,さらに長年英語教育にも関わっていることから「英語教育」についても研究しています。
研究を始めたきっかけ
中学生の頃にサイモンとガーファンクルやカーペンターズの楽曲と出会い,英語の歌詞に興味を持ちました。言語学については,学部生時代にまず歴史言語学に興味を持ちましたが,大学院で生成文法理論と出会い、博士前期課程1年生の時に受けた久野暲教授(ハーバード大学)の集中講義から、加速度的に現代言語学に魅了されていきました。ワシントン大学留学時、多くの優秀な教授陣の指導を受けることができ,以来40年以上にわたって英語統語論を中心に研究を続けています。
ワシントン大学(シアトル)中央図書館(Suzzallo Library)
ワシントン大学留学時の指導教員Frederic J. Newmeyer教授と(1988年頃)
研究の学術的意義
生成文法理論は,人間の言語能力を科学的に解明することを目指しています。私は英語統語論を専門としていますが,英語という一つの個別言語の文法という視点ではなく,人類が共通して持っている言語能力という視点を常に意識しています。言語は思考と深く関わるため,言語能力の理解が進めば,思考あるいは「こころ」の研究にもつながります。近年,生成AIの進歩が著しいですが,こころを持たないAIと人間を比較することで,人間とは何かという難問にも挑むことができることでしょう。
研究の社会的意義
英語の文法を研究していることから英語教育にも関わっていますが,人類が共通して持つ言語能力という視点で研究しているため,同じ事象を扱っても純粋な英語教育の視点からの研究とは必ずしも意見が一致しません。しかし,その違いこそが意味あるものだと考えています。英語教育は,母語話者中心の研究から,よりグローバルな英語の研究へと軸足を移しています。国際語のひとつである英語の研究をする際,人類共通という視点を持つ生成文法理論の研究の意義が再認識されることを信じます。
将来の研究の展望
AIの技術が信じられないようなスピードで進歩していく中,人間の「こころ」とは何かについて探求していきたいと考えています。人間の「こころ」が果たして計算の結果なのか,それとも計算とは異なる何か別の次元の要素が絡んでいるものなのか,古くからある問題がAIの時代を迎えて新たな重要な課題として私たちに問いかけられているように思います。言語学の研究を通じて,人間とは何かという究極の問題に挑戦していきたいと考えています。
代表著書
研究者紹介
